内容紹介 これは「八重山古典民謡」と定義される凡そ全ての歌について、記述と録音とによ
り精確に記録しようという野心的な大著である。
その記述は広汎なことがらに及び、かつ深い。伝承されてきた歌詞の意味と背景が、
文献しょう渉りょう猟ときょう校ごう合と考察を方法論として詳細に検証され解説さ
れている。
歌意は歴史・民俗・社会学的知見に基づき、語意は文法と音声学の両面から接近し
て注釈され、その考証はくん訓こ詁にまで及ぶ。従ってこれは高度な学術的文献であ
る。
一方、発音・発声・唱法は実演家ならではの、そして指導者ならではの情熱により
記述され、その懇切丁寧ぶりは圧倒的である。だからこれは極めて実用的な書でもあ
る。
どこまでも真正なありようを求め、それを共有しようという志向性は感動的である。
まさしく“歌のこれまで”と“歌のこれから”を総合した書であり、その基本は
「正統」を志向する純真な姿勢であり、それはし紙はい背にこそ溢れている。
(宮城信博氏評)
Disc1 収録曲1 赤馬節
2 鷲ぬ鳥節
3 鶴亀節
4 鳩間節
5 月夜浜節
6 上原ぬ島節
7 繁昌節
8 とぅまた節
9 仲良田節
10 蔵ぬ花節
11 揚古見ぬ浦節
12 黒島節
13 千鳥節
14 夜雨節
15 大浦越路節
16 小浜節
17 弥勒節・やーらよー節
Disc2 収録曲1 越城節
2 いやり節
3 無蔵念仏節
4 まんのーま節
5 たらくじ節
6 石ぬ屏風節
7 古見ぬ浦節
8 安里屋節
9 仲筋ぬぬべーま節
10 しょんかね節
11 崎山節
12 月ぬ真昼間節
13 とぅばらーま節(斉唱)
14 とぅばらーま節(交互唱)
第34回八重山毎日文化賞正賞受賞當山善堂氏が、八重山研究や芸術文化の振興に顕著な業績を挙げた人を表彰する第34回八重山毎日文化賞(八重山毎日新聞主催)の正賞を受賞しました。
1944年、竹富町黒島生まれ。八重山古典民謡を通事安京師範、大濵安伴師匠、糸洌長良氏に師事。八重山古典民謡の詩的・言語学的方法論を森田孫榮氏や宮城信勇氏、喜舎場英勝氏に学んだ。
83年に八重山古典民謡コンクールで最優秀賞を受賞。翌年5月に「八重山古典民謡研究所」を開設。93年に師範となった。
その間、八重山古典芸能関連の論文を多数執筆。自らも実演者として研さんを積むとともに、2008年から13年にかけて「CD附精選・八重山古典民謡集」全4巻を発刊。同書は、八重山民謡の厳格な文法的探究や中舌音の2通りの表記など詳細に記され「八重山古典民謡を学ぶ人々にとっても最適・最良の教科書だ」と専門家の評価も高い。
受賞に「なぜこのタイミングで自分が選ばれたのか戸惑っている。推薦や選考に携わった方へ、私の研究に関する方法論や先学・先達の功績に対する検証・批判への評価に敬意を表したい」と述べた。
現在は、20年夏の出版を目指し「黒島の言葉・習俗辞典」を執筆しており「一般の方にも黒島の生活や習俗が分かりやすく読んで楽しく面白いものにしたい」と意気込む。
八重山毎日新聞HP
http://www.y-mainichi.co.jp/news/34412/
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